CxO人材の採用は企業の成長や成功に直結する重要なプロセスです。
CxOとは、特定の企業活動における最高責任者を意味します。
企業の将来性を左右すると言ってもよいほど重要なポジションであるCxOには、優秀な人材が必要です。
そこで、ここではCxO人材についての基本的な知識や優秀なCxO人材を見極めるための採用のコツを紹介します。
CxOとは何か
CxOとは、企業における「最高〇〇責任者」のことです。
Chief=組織責任者、X=特定の業務or任務、Officer=役員
の略で、企業内のある分野や業務における責任者を表します。
Xには、経営・財務・技術など特定の分野が入ります。
CxOの歴史
ここでは、CxOが日本で設置されるようになるまでの歴史を簡単に紹介します。
1980年代 | アメリカで始まって普及しはじめる ∟経営側と業務執行側の役割分離を目的としてCxOが設置され始めました |
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1997年 | 日本で初めて総合電機メーカーにおいてCxOが設置される |
現在 | 多くの企業でCxOが設置されている |
このような流れで日本の企業にCxOの配置が普及し始めました。
取締役・役員との違い
CxOについてよくある疑問が「取締役や役員との違い」についてです。
ここでは、CxOと取締役・役員との違いを解説していきます。
- CxO…特定の事業・業務・分野などの意思決定し、業務を実行する役割
- 取締役・役員…企業や特定の業務などを統括・運営し、責任を取る役職
CxOと取締役や役員とも大きな違いは、法的な根拠です。
取締役や役員は会社法に従って選定されているのに対し、CxOは会社法に関係なく選定されています。
つまり、取締役や役員は業務の成果についての責任を取ることができますが、CxOが責任を取るのは少ないです。
ちなみに、企業によってはCxOと取締役・役員を兼任する場合もあります。
また、CxOは会社法で定められた立場ではないため、企業によって考え方や役割が異なります。
日本でCxOを導入している企業
以下の企業はCxOを採用しています。
- ソニー
- 日産
- 三井住友ファイナンシャルグループ
- 武田薬品
など、上のような企業はCxO制度を導入しています。
国際社会での活躍が求められる企業や業界でCxO制度の導入が増えています。
これからもこの制度を導入する企業が増えていくと考えられます。
優秀なCxO人材を見極めるポイントや採用のコツ
最近はCxO人材を採用する企業が増えていますが、優秀なCxOを見極めるためのコツはあるのでしょうか。
ここでは、優秀なCxOを見極めるポイントや採用のコツを紹介します。
将来のビジョンとその実行力
優秀なCxOは企業のビジョンや戦略を立てて、そのための具体的な計画を立てることができます。
優秀なリーダーには冷静で客観的な視点で物事を見る能力が必要です。
このような能力の有無を見極めるために、今まで行った仕事の具体的な内容やこれからの仕事のビジョンを聞いてみましょう。
リーダーシップ
力強いリーダーには強力なリーダーシップが必要です。
チーム全体をまとめて率いていくためには、大切な場面での適切な判断力と困難な場面での冷静な対応力が求められます。
面接では、仕事で起こった具体的なトラブルの事例を示し、その解決策や乗り越え方を聞いてみましょう。
コミュニケーション能力
CxOは社内、社外に関わらず多くの人と関わっていきます。
しかも、役員側と実務側の中間に立って仕事を進める立場になることも多いため、高いコミュニケーション力が求められます。
面接時では、質問に対して的確に答えられるか、対話力があるかどうかに注目してコミュニケーション力を観察しましょう。
柔軟性
CxOはあらゆる場面で柔軟性が必要になります。
予期せぬトラブルに見舞われた際には、柔軟性の高い迅速力のある対応が重要です。
リーダーとしてメンバーを引っ張っていくためには、すばやい決断力も必要です。
面接時には、過去に起こったトラブルやその乗り越え方を聞いてみましょう。
倫理観
CxOは対外的なコミュニケーションも多く、企業の顔として見られることが多いです。
そのため、倫理観がある行動を常に行っている必要があります。
倫理観の有無を知るためには、面接時に倫理的な判断を迫られるような事例を示し、その乗り越え方を聞いてみましょう。
CxO人材を採用する際の注意点
ここでは、CxO人材を採用する際に気を付けるべき点をいくつか紹介します。
ビジョンの一致
CxOとして働く人には会社のビジョンと個人のビジョンが一致していることが重要です。
企業のビジョンと個人のビジョンが異なると、企業が目指すような成果を出すのは難しくなります。
CxOを採用する際にはビジョンが一致しているかを確認しましょう。
リーダーシップ経験の有無
CxOには強いリーダーシップが必要です。
しかし、リーダーシップは誰でも持ち合わせているわけではなく、頭で学んで手に入るようなものでもありません。
過去に組織をまとめたことがあるかを確認して、リーダーシップ経験があるか、そしてその結果はどうだったかを確認しましょう。
透明性
CxOには透明性が求められます。
組織のリーダーとして企業の顔となって働くCxOが法的に・道理的に間違ったことをしないかは重要です。
過去にトラブルを起こしたことがないか、以前勤めていた企業での評判はどうだったか、を確認できると安心です。
CxO人材を採用するメリット
CxO人材を採用することのメリットは数多くあります。
ここでは、その中から特に注目すべき3つのメリットを紹介します。
経営側と実務側のつなぎ役ができ
CxOは組織の戦略的な決定を行う経営側と日々の業務を行う実務側の橋渡しを行います。
この役割によって経営側が考える組織の方針を正確に現場に伝えられます。
逆に現場の声を的確に経営側に伝えることもできます。
このように経営側と実務側のつなぎ役がいることによって組織全体の調和を保つことが可能です。
経営側・実務側の役割分担ができる
CxOが上手につなぎ役となることによって経営側と実務側の役割分担ができます。
経営側が行う実務や実務側を取りまとめる業務をCxOが行うことによって、経営側が経営のみに集中することができます。
このように役割分担ができることによって組織全体の生産性が向上し、目標達成への具体的なステップが進みやすくなります。
責任の所在が明らかになる
組織のそれぞれの分野にCxOを配置することによって業務範囲が明確になり、その責任の所在も明らかになります。
しかも、多くの場合CxOはその分野のエキスパートなので、専門性が高いリーダーが業務を仕切ることによって効率的に業務を遂行することができます。
CxO人材をどのように採用するか?
企業の成長に欠かせないCxO人材ですが、どのように採用すれば良いのでしょうか。
ここでは、CxO人材を採用するための方法を3つ紹介します。
人材紹介サービス
人材紹介サービスとは、エージェント側が優秀な人材を集め、その人材を企業に紹介するサービスのことです。
紹介された人材を採用した企業は、エージェント側に年収の数パーセントの費用を支払います。
採用時に高いコストがかかりますが、優秀な人材をすばやく見つけることが可能です。
リクルートサービス
リクルートサービスとは、スカウトサービスに人材を募集している企業の情報を載せて、それに応募した人を採用するサービスのことです。
初期費用や固定費が必要ですが、人材採用時の費用がほぼないかもしくは少し必要な程度なので、採用コストを削減できます。
<代表的なリクルートサービス>
- ビズリーチ
- Green
- Forkwell
リファラル
自社の社員が推薦した候補者を採用する方法です。
例えば自社の社員の知人、仕事関係者などを外部から呼んできて採用します。
多くの場合、候補者の能力や人柄を分かった状態で採用するので、スムーズに採用が進みます。
採用コストを抑えながら企業に合う人材を探すことができるというメリットがあります。
CxO人材の種類
CxOの「x」には違うアルファベットが入り、それぞれ異なる責任者を表します。
ここでは、主なCxOの種類を紹介していきます。
【合わせて読みたい記事】
CEO=最高経営責任者
その企業における経営部門の最高責任者のことです。
多くの企業が代表取締役や会長と兼務でこの立場を設置しています。
COO=最高執行責任者
CEOの次の立場で、企業が立てた戦略を実行することに対しての責任者です。
CEOの指示を実現するためにチームをまとめます。
CFO=最高財務責任者
企業内の財務面を担当する責任者です。
企業がこれから行う事業を遂行するために予算を計算し、コスト管理、資金調達を行います。
CTO=最高技術責任者
企業内の経営のために技術面からアプローチする責任者です。
他の企業と違う技術を開発し、それを活用するための体制を整えていきます。
CMO=最高マーケティング責任者
企業経営における最高責任者です。
企業全体のマーケティングに関する戦略を立てて実行していきます。
市場へのシェア拡大やブランド強化などを主に行います。
CSO=最高戦略責任者
CEOが立てた目標を実行するための戦略を立てる立場です。
客観的な視点で企業全体を捉えて、戦略を立てて実行していきます。
目標成功のための体制を整える役割を担っています。
CIO=最高情報責任者
企業情報をどのように運用し、実行していくかを考える責任者です。
情報管理システムを管理・強化していくのが主な仕事になります。
CHRO=最高人事責任者
企業の人事関係での戦略を立てて実行していく立場です。
対外的なコミュニケーションが主な仕事で、顧客対応や記者会見などをスムーズに執り行います。
CAO=最高分析責任者
企業経営において必要なデータを収集し、正しく分析していく責任者です。
データ管理をしながら経営課題を見つけ、その解決方法を提示します。
CBO=最高ブランディング責任者
企業ブランドの管理や強化を行う責任者です。
市場における企業価値や企業イメージを確立し、マーケティング面での強化を行います。
CCO=最高コミュケーション責任者
企業経営の中で対外的なコミュニケーションを行う責任者です。
社外の関係者と適切なコミュニケーションを行い、関係を深めていく役割を担っています。
CPO=最高プライバシー責任者
企業内にある個人情報を守るための責任者です。
社員のプライバシーに関する情報をしっかりと管理し、経営上のリスクを軽減させます。
CISO=最高情報セキュリティ責任者
企業内の情報セキュリティに関する責任者です。
企業内の機密情報を守る戦略を立てて、それを実行していきます。
CLO=最高法務責任者
企業内の法務関連の責任者です。
訴訟対策や企業内の法的なリスクを軽減させることが主な仕事です。
まとめ
CxOとは、企業において特定の分野での最高責任者のことを言います。
社長・会長・役員と違う立場で業務や企業目標を達成するためのリーダーとしての位置づけで目標を達成していきます。
CxO人材を採用する際には、その専門性や人柄、リーダーシップ力などあらゆる能力を見極めることが大切です。
これからさらに国際化が進む世界で企業を成長させるために必要なCxOという立場は、日本でも多くの企業で取り入れることが予想できます。